城所岩生編, 中山信弘ほか著「これでいいのか!2018年著作権法改正」(100頁)図書紹介

城所岩生編, 中山信弘ほか著「これでいいのか!2018年著作権法改正」(100頁。インプレスR&D刊 1620円)を、編著者である城所先生よりご恵贈いただきましたのでご紹介します。

本書のはしがきに、「各執筆者間では、2012 年の改正で期待外れに終わった日本版フェアユースの実現に向けて一歩近づいた点は評価しつつも、改正の主目的であるイノベーション促進の観点からは課題の残 る改正に終わった点で見解の一致をみた。」とあるように、アメリカ連邦著作権法に規定があるフェアユースをわが国にも取り入れようというのが本書の主題であるといえる。

連邦著作権法は1976年に大改正が為され、そのときに判例法であったフェアユースを成文化したという経緯がある。しかし、これに関しては、ケネディーの暗殺事件を題材にした著書に20世紀フォックス社が著作権を有する写真を複数枚使用したハーバード大学哲学科教員が著作権侵害で訴えられたザプルーダー事件や、アメリカでスパイ容疑で逮捕されたローゼンバーグ夫妻の子供たちに宛てた書簡を著書に無断使用した男性が著作権侵害で訴えられたローゼンバーグ夫妻書簡事件においても、それぞれフェアユースを基準として判断されるべきと考えられたが、結局のところ合衆国憲法修正第一条項が規定する表現の自由による判断がなされたわけであり、そういった事例が多々ある。
そう考えれば敢えて我が国においてフェアユースを採用せずとも憲法上の権利との牴触問題としてほとんどの場合、解決を図ることが可能であるともいえる。
もし仮に著作権が著作者の死後70年に延長されたことでフェアユースによる著作物の利用範囲を広げようとの考えでフェアユースを採用するというのであれば議論の余地が残されているといえよう。
 
                                                           佐藤薫
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by utplaw | 2019-05-11 22:30 | 佐藤より  

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